桃舞が莉彩のことをちゃんと見てるってことに、あまり良い気持ちがしないというか…
少しイラつくような感覚があるというか…
上手く言葉で表現出来ない。
『壱夜』
「…何だよ」
『俺が莉彩ちゃんの様子の変化に気付いて心配してること、あまり快く思ってないんだろ？』
「……………」
コイツ、他人の心の中を読める特殊な能力でも持ってんのか？
的確に言い当てる桃舞にビックリして何も言葉が出てこなかった。
『肯定の沈黙？』
「そろそろ電話切るぞ」
『ちょっと待て！あと少しだけ』
会話を終了させようとする俺を引き留める桃舞。
『もしも壱夜が莉彩ちゃんのことを友達として見てるんだったら、俺が莉彩ちゃんの心配をしてることに同感することはあっても、複雑な気持ちを抱くことはないんじゃないか？』
「………」
『お前の感情は、友達の枠を越えてるよ』
そのあと、桃舞は“おやすみ”と明るく言って電話を切った。
