『もしかして、他に誰か居るのか?例えば莉彩ちゃんとか』
「なっ……」
反射的に少し大きな声が出てしまい、口を素早く手で覆った。
『まさかの大正解?』
驚いたというよりも嬉しそうなトーンで話す桃舞。
『壱夜が家に上げるのは、ごく親しい人間だろ?紅月なら、そこまで気を遣わない気がするから莉彩ちゃんかな~って』
適当に言い当てたと見せかけて、ちゃんと推理してやがる…。
電話の向こうでニヤついた顔をしてる桃舞の姿を想像しながら眉を寄せた。
「言っとくけど、アイツは遊びに来てるとかじゃねぇから。ちょっと事情があって、一人にしとくわけにはいかないと思って、家に連れて来ただけだから」
『そっか』
自分の部屋へと移動しながら経緯の概要を話すと、桃舞から曇った声が返ってきた。
『最近、莉彩ちゃんの様子がいつもと違うなぁとは思ってたんだよね…。少し元気ない感じだったから心配してたんだけど…。大丈夫そう?』
「ああ。とりあえずは多分…」
『それならいいんだけど』
桃舞も気付いてたのか…。
そりゃあ莉彩と友達なわけだし、いつも会ってるんだから些細な変化に違和感を持つのは自然なことだよな。
だけど、なんで俺はこんなにモヤモヤしてんだろ。