「あ、あの…ヨルさんは買い物?」


「だったら何?」


「さっきのお店、文具店だよね…?」


「俺が文具店に居たら悪い?」


「全然、悪くないと思います…」


会話が弾まない…。


しかも、ケンカ腰で言葉が返ってくるし…。


「あの、ヨルさん…」


「じゃあな」


スタスタと歩き出す彼の背中に向かって、私は口を開いた。


「昨日も今朝も、私を助けてくれて本当にありがとう!」


先に帰ってしまう前に、どうしても伝えたかった感謝の気持ち。


ヨルさんに阻まれてばかりだったから、ようやく最後まで言うことが出来た…。


「俺、言わなかった?別に、アンタを助けたわけじゃないって」


振り向いたヨルさんは眉をしかめる。


「よ、ヨルさんにとっては…そうだったのかもしれないけれど、私にとっては、ピンチを救ってくれたヒーローなの。だから、どうしても“ありがとう”って言いたかったんだ…」


素直な気持ちを笑顔で口にすると、ヨルさんは驚いたように目を見開いた。