「俺や桃舞の心を救ってくれたのは莉彩だから、俺も…お前の力になりたい」
鼻の奥がツンと痛くなる。
胸がジワリと熱くなって、込み上げてくる涙を必死に抑えた。
「ありがとう…」
無言で頷く壱夜くんを見ながら、私は少しぬるくなったコーヒーを一口飲んだ。
「………私ね、お父さんと凄く仲良しだったんだ」
「うん」
「お父さんが仕事から帰って来たら、その日の出来事を一緒にお喋りするのが日課だったし、休日は…たくさん遊んだ」
「そっか…」
壱夜くんは優しく相槌を打つ。
「とても大好きなお父さんだったのに、あの日…私は酷いこと言っちゃったんだ。あの言葉が、お父さんに向けた最後の言葉になるなんて思わずに…」
私は手を震わせながら、膝の上で拳を作った。


