「んじゃ、紅月のところに行くとしますか!ねっ、莉彩ちゃん!」


「う、うん…!」


壱夜くんと桃舞くんの後に続いて医務室を出る。


これからも、一歩ずつ…


距離を縮めていけるように、引き続き頑張るぞ…!


心の中で意気込みながら、壱夜くんの背中を見つめていると、足早に歩いていた彼の足が不意にピタリと止まる。


そして、私の方に振り向いた。




「おい。モタモタ歩いてると置いてくぞ、莉彩」


「あっ、うん…!ごめんなさ………って、えぇっ!?」


思わず、足が縺れて転びそうになったのを何とか堪える。


桃舞くんも驚いたのか、目を見開いていた。


「二人して変な反応してんじゃねぇよ」


「だだっ、だって壱夜くん!!今、私の名前っ……」


これまでは、ずっと“碧瀬”だったのに。


いきなり“莉彩”なんて名前呼びしてくるから、衝撃が半端なかったんだよ…。