「いっ、壱夜くん…!いつから、そこに!?」


「たった今に決まってんだろ。つーか、頑張るだのファイトだの言ってたけど、何の話なわけ?」


良かった…。


最後の会話のところしか聞いてなかったみたい…。


「えっと、今のは……」


「俺と莉彩ちゃんだけの秘密だから、詮索は不可」


どんな風に誤魔化そうかと言葉に詰まったところで、桃舞くんが口を開く。


壱夜くんは訳が分からないと言わんばかりに、顔をしかめた。


「何だよ、それ」


「言葉の通りだよ。っていうか、紅月は?」


「アイツなら、この建物の入り口のところで俺らが来るのを待ってる。アイツに纏わりついてた女たちは、軽く睨みつけたら撤収して行った」


さ、さすが壱夜くん…。


睨んだ時の眼力は、男の人ですら凍りつくぐらいの迫力と威圧感があるからな…。


女の子たちが逃げるように慌てて走り去って行ったであろう光景が容易に浮かんだ。