「ところで、さっきの看護師の人は?」


「事務所の方に行って来るって言って、出て行ったばかりだよ。桃舞くんに電話繋がった?」


「ああ。離れた場所に居るから、駆けつけるのに少し時間かかるかもしれないってさ。だから、ここで待ってればいいんじゃね?」


「うん…」


もし看護師さんが戻って来たら、事情を話せばいいよね。


私は窓際のソファに移動して、腰を下ろす。


壱夜くんはスマホをいじりながら窓際にやって来ると、フゥ…と軽く息を吐いてから近くの壁に凭れた。


そうだ…。


改めて、心配させちゃったこと…謝らなくちゃ。


「壱夜くん、迷惑かけちゃってごめんね」


「……別に迷惑じゃねぇから、いちいち気にすんな。そもそも、お前がケガしたのは俺のせいだろ。謝らないといけねぇのは俺の方だ」


「えっ、なんで壱夜くんのせいなの?」


「なんで…って、俺がキーケースを落としたから…」


こちらに視線を向ける壱夜くんに、私はブンブンと首を横に振った。