「えっ…!?あ、いや…何となく……この格好が落ち着くっていうか…」
明らかに動揺してる…。
これは、何か隠してるな。
「そのわりには、かなり不自然感が滲み出てるけど?」
「そ、そうかな?そんなことより、桃舞くんたちに早く連絡しないと…!」
絶対に様子がおかしい…。
取り繕うような笑みを浮かべながら、後退りをする碧瀬。
怪しい行動を不審に思っていた時だった。
「ひゃっ…」
何かに躓いたのか、碧瀬が少しバランスを崩す。
転倒はしなかったけれど、その瞬間に左手から白いものがフワリと地面に落ちたのを俺は見逃さなかった。
直ぐに駆け寄って、碧瀬よりも先に拾い上げる。
白いものの正体は、ティッシュ。
でも、そこには少し血がついていた。
「これが理由か」
「えっと、それは……」
「ケガしてんだろ、ちゃんと見せろ」
碧瀬を真っ直ぐ見ると、もう誤魔化せないと感じたのか、隠していた左手をぎこちなく俺の前に出した。