「なんだよ、その不気味なぐらいのニヤニヤ顔」


壱夜くんが彼氏になったとしたら……なんて、妄想を繰り広げていたら、自然と頬が緩んでいたらしい。


怪訝そうな顔をされてしまった。


「えっと、これは……きょ、今日の壱夜くんの服装がカッコいいな…と思って、見入ってたといいますか…」


本当のことは言えないので、慌てて誤魔化す。


でも、今の言葉だって嘘じゃない。


今日の壱夜くんは、白と紺のボーダーのＴシャツに薄手の黒いジャケットを羽織り、グレーのデニムパンツ、黒地のスニーカー。


私服姿、カッコよくてドキドキしてしまう。


「お前、どっかで頭を打ったんじゃね？別に普通の服装なんだけど」


「いやいや、素敵男子だよ！とっても似合ってる！」


「それ以上、言うな。鬱陶しい」


言葉はキツめだけど、怒ってるというよりは照れてるみたい。


こういう壱夜くんの一面って、以前なら考えられなかったなぁ…。


なんか、可愛い…。