「他人の心配より、自分の心配しろ」
「へ…?」
「さっき、ここから逃げていった不良たちが、まだどっかに彷徨いてる可能性があるだろ。碧瀬は不良に遭遇しやすいんだから、一人じゃ危ねぇんだよ」
確かに、普通の人よりも不良たちとの遭遇率が高い気がする…。
なんか変な縁でもあるんだろうか…。
でも、壱夜くんが私を心配してくれてることは嬉しい。
「行くぞ」
「あっ、うん…!」
スタスタと歩き出す彼の後に続いた。
それにしても、壱夜くんはマスク姿でもカッコいいな…。
あまり見られる機会もないだろうから貴重だよね…。
「俺の顔に何かついてるわけ?」
視線を感じたのか、壱夜くんの不機嫌そうな声が飛んでくる。
思ってることを、そのまま話したら引かれそうだと感じた私は、“ううん、何でもないよ”と誤魔化した。
危ない、危ない……。
今度は、気付かれない程度にチラチラ見るようにしよう。


