「私たち、友達になろうよ」
「…………」
紅月くんの目が僅かに見開く。
驚きと戸惑いが入り混じったような表情。
反応を伺っていると、私の左横から壱夜くんの大きな手が、紅月くんへと差し出された。
「些細なことでも、気軽に愚痴れよ。俺で良ければ、いくらでも話聞くから」
すると、今度は右横から神楽くんが手を差し出す。
「面白い話、くだらない話は俺に任せとけ。お前のこと…たくさん笑顔にさせてやるよ」
二人の気持ちが、胸を震わせる。
紅月くんは私たち3人にそれぞれ視線を向けた後、頭をクシャクシャと掻いた。
「アンタら、変わってるな…マジで」
今にも涙が零れてしまいそうなぐらい、潤んでいる目。
紅月くんは空を仰いだ後、少し躊躇いながら私たち3人の手を順番に握った。
「そこまで言われたら、友達になるしかねぇだろ」
少し素っ気ない口振り。
だけど、私は顔が綻んでしまうほど嬉しかった。


