「あれは、正当防衛であって悔いるべき行為じゃない。お前の行動が、お前自身の命や、俺の命を守ってくれた。それこそが、ずっと変わらない事実なんだよ!」


俺が、守った…?


命を…?


今まで、そんな風に考えたことがなくて戸惑っていると、桃舞はゆっくりと胸ぐらを掴んでいた手を離した。


「俺、これまで自分自身を責めるだけで、壱夜に肝心なこと何も伝えてなかった。一番、大事な気持ちを」


深呼吸した桃舞。


その目から、一粒の涙が零れた。



「あの時、俺を助けてくれてありがとう。壱夜がいなかったら、俺…どうなってたか分からない。お前と出会って、友達になれて本当に良かった!これからも、末永くよろしくな!」


いつものようにニコリと明るく笑う姿に、何かが俺の中でパチンと弾ける。


目の前に差し出された桃舞の手が、ジワリと滲んだかと思うと、熱いものが頬をつたった。


お前の笑顔や明るさに助けれてきたのは、俺の方だよ。


桃舞が友達で良かった…。


「いつも、ありがとう。こちらこそ、よろしく」


差し出した手を、桃舞は力強く握る。


固い握手を交わしながら、俺たちは笑みを零した。