「俺たちの行動が、結果としては赤髪の男との遭遇に繫がっちまったけど、そこに故意なんてなかった。予測不可能なことだった。だからさ、お互い…自分自身を責めるのは止めないか?」


確かに、故意で忘れ物したわけじゃない。


あんな未来が待ってるなんて、予想もつかなかった。


それは、そうだけど……


「俺には、出来ない」


「壱夜…?」


「あの時、俺は…許されないことをした。暴力振るって相手にケガさせた。その事実は変わらない」


二度と同じことをしないように、深く心に刻みつけていかなければいけない。


ずっと…。


「俺からすれば、あれは暴力なんて言わねぇんだよ」


声を震わせた桃舞は、俺の胸ぐらを掴む。


「もしも、壱夜が赤髪の男を力づくで止めてなかったら、俺ら…命の危険だってあったんだぞ?もしかしたら、他の通行人にも被害が及ぶ事態になっていたかもしれない。そうならなかったのは、お前のおかけだろ!?」


目には少し涙が溜まっていた。