「後日…警察からの電話で、赤髪の男が憂さ晴らしを理由に俺を切りつけたことや、ソイツが隣町の大きな不良グループのリーダーだったってことを知った」


それじゃあ……


“隣町に君臨してたグループの壊滅原因を作ったヤツ”


“あのリーダー、この辺でかなり強かったのに“ヨル”に瞬殺されたらしい”


私が引っ越してきた早々に不良たちに絡まれた、あの日。


彼らがヒソヒソと話していたことは、これだったんだ…。


「暗い話をしちゃって、ごめんね。莉彩ちゃんを巻き込んじゃった以上、きちんと話をしておきたくて」


「ううん、話…聞かせてくれてありがとう。思い出すのも辛いはずなのに…」


悲しそうな笑みを浮かべる神楽くんに、胸が締め付けられる。


目頭がジワリと熱くなるのを感じた。


「あれ以来、壱夜は…正当防衛とは言え相手を殴ったことや、俺がケガをしたことを責め続けてる。“忘れ物なんてしなければ、こんなことはならなかった”って、ずっと思ってるみたいなんだ。悪いのは、俺なのに…」


冷たい風が吹き抜ける。


神楽くんは少し顔を俯けた。