素っ気ない声だけど、柔らかい表情を浮かべている壱夜くんにカアッと顔が熱くなる。


“好き”っていうところに妙に反応してしまった…。


私に対する言葉じゃないのは分かってるけど、思わずドキッとしちゃったよ…。


「家に帰ったら食べさせてもらう」


「う、うん!チョコ好きの壱夜くんの舌を唸らせるぐらいの出来になってるかどうかは分からないけど…」


「味には、うるさくねぇから安心しろ。ただ、口に合わなければ食べきれないかもしれない」


それは、そうだよね……。


壱夜くんの口に合えばいいな…。


そんなことを密かに願いながら資料室を出た。


「碧瀬、チョコ…ありがとな。一応、礼言っとく」


小さな声だったけど、ハッキリと耳に届いてきた言葉。


自然に頬が緩んで満面の笑みになる。


チョコ、受け取ってもらえて良かった…。


友達になることも出来たし、嬉しいな…。


少し照れくさそうな雰囲気を漂わせる壱夜くんの隣を歩きながら、私は幸せな気持ちに包まれていた。