「何?」


ラッピングした正方形のボックスに、不審がる壱夜くんの視線が突き刺さる。


「あのね、壱夜くんに下駄箱で待ってて貰ったのは、このチョコを渡したかったからなの」


「は?チョコ…?」


「うん、とっ…友チョコ!今日はバレンタインでしょ?壱夜くんには色々とお世話になってるから、感謝の気持ちを込めて作ったんだ…」


声、上擦ってしまった…。


友チョコ渡すだけでも緊張するんだから、壱夜くんに告白するのは相当な勇気が必要だな…。


まだまだ、そこに辿り着くまでには時間が掛かりそうだけど、この友チョコは両想いになるための大切な一歩になるはず…。


「…………俺らって、いつから友達になったんだよ」


「えっと、いつの間にか………かな?」


「ふーん。まあ…それはいいとして、俺…チョコ嫌いなんだけど」


「そっ、そうなの!?甘さ控えめなビターもダメ…?」


「無理」  


甘過ぎるのは苦手かもと思ってたんだけど、チョコ自体が苦手だったとは…。


ガクリと肩を落とすと、壱夜くんは私の持っていたボックスを手に取った。



「嘘だよ。俺、意外と好き」