「チョコ、夜本くんに渡すの?」
「う、うん。今日こそは自分の気持ちを伝えるつもり。緊張するなぁ…」
「頑張ってね、紫葵ちゃん!きっと想いが伝わるよ」
「ありがとう」
照れくさそうに微笑んだ紫葵ちゃんは、夜本くんのクラスへと行ってしまった。
私も、壱夜くんにチョコを渡さなくちゃ…。
本当はお昼休みに渡すつもりだったけど、神楽くんも屋上に居たから、やめたんだよね…。
チョコ、壱夜くんの分しか作ってきてないから。
“放課後、話したいことがあるので下駄箱のところで待っていて欲しい”とお願いしたので、多分…待っていてくれるはず。
……とその前に、借りてた本を図書室に返却しないと。
期限が今日までなんだよね。
帰り支度を調えた私は、本を片手に足早に教室を出た。
そして、図書室にて急いで本を返却して下駄箱へと向かう。
壱夜くんがどんな反応をするのか考えながら廊下を進んでいた時だった。