そして、エルカイダの聖女が聖務をこなすたび、世界に散らばった光晶石は新たな力を孕む。
また、エルカイダの島を包む結界をより強固にする。

_それが、エルカイダの聖女に託された最も重要な役目であった。

高所であるため、朝はかなり冷える。足元から這い上がるような寒さの中、クリスティーナは裸足で奥に進む。すると、大理石でできた幅の広い階段が見えてくる。

彼女が今着ているのは、純白の巫女装束。聖女であるクリスティーナにしか着ることの許されないそれは、幅のある長袖に、足を隠すほどの長衣。金と銀で刺繍がほどこされ、腰には流れるサテンの帯が結ばれている。

全身を白で包まれたクリスティーナはまさに清廉な聖女そのものであった。彼女はふわりと広がる裾を優雅に持ち上げて、一段一段、踏みしめるように階段を上がっていく。

最後の一段を登り切ると、眼下には朝日をうつし出して輝く海があった。
クリスティーナはそれを一瞥し、目の前に佇む神官の元に行く。クリスティーナは膝をおり、神官に頭を向ける。彼はわずかに頷き、慣れた動作で銀の髪に、エルカイダにしか咲かないといわれるレインの花冠と金の簪をつけた。