この会場にはクリスティーナが毎朝舞っている祭壇の会場に似たような作りの建物がある。
切り出されたままの、大きな平たい岩の上に、人の頭ほどもある幾つもの光晶石が置かれ、煌々とした明かりでその場を真白く浮かび上がらせている。
貴族や聖騎士達、純白に身を包んだ巫女や神官たちが舞台に徐々に集まり出す。
石舞台は高く、観客が見上げる形である。
前方の貴賓席には、国王と、本来ならば聖騎士団長、選ばれた巫女や神官、貴族が座っている。あとはすべて立ち見だ。
「あなたは行かないのですか?」
ブルーノは横にいる聖騎士団長に顔を向けた。
「まあ、たまにはここから見るのも悪くないしなぁ」
自由奔放なギルバートに、呆れてため息さえ出ない。諦めてブルーノは目線を戻した。
楽士達は石舞台の下に並び、舞台上には一人の少女のみ。
楽士達は準備が整ったのか、華やいだ音楽を奏で始める。
その瞬間、クリスティーナは伏せた面を上げ、柔らかな微笑をたたえる。
白絹に金糸、銀糸の刺繍が施された薄衣を身につけ、光晶石のまばゆい光を受けて幻想的な佇まいである。
しかし、何にもましてクリスティーナ自身が輝いていた。
長い手足が優美な弧を描くたび、白い薄絹が淡い光の軌跡を描く。ほっそりとした肢体は、不思議と華奢な印象を受けない。そればかりか繊細で複雑な振りを、いとも軽やかにこなしてのける。


