+ヴァンパイア執事+

憧れる存在が、他者に無様な行いを見せるのは、屈辱的でしょうね。

バフィの赤い舌が恭しく、なまめかしく私の靴を舐めるのを、堀内は震えながら見ていた。

ふ、とそのざまを鼻で笑う。

「わかった? バフィは私の執事なのよ。下僕で、犬で、奴隷なのよ。私がバフィをどうしようと、アナタに言われる筋合いはないわ」

「そんな……そんな……」

ダメね、この程度のお遊戯で泣くようじゃ。

  ルナ
柳沢月は、そんなことでは落とせないわ。

「いいわバフィ、もういじめるのも飽きた。この子の記憶を消しちゃいなさい」

「かしこまりました、お嬢様」

「ひっ」

さっき、本気で首を締め上げられたばかりだ。

どんな形か想像はできなくとも、記憶を消すという事実に、堀内がすくみあがった。

「ななっ、なんなのよぅ! アンタ、ほんとになんなのよぉっ!?」