+ヴァンパイア執事+

「アンタは知らないでしょっ!! 学園のどれだけの生徒がバフィ・ディスカル・ルックンデルト・ヴァン・ピ・アンさまに憧れてるか!!」

すごい。私以外でバフィのフルネーム覚えてる人、初めてよ。

「その爽やかなお姿を一目できれば幸せを感じ、もしすれ違うことができれば卒倒するほどの興奮を覚え、万が一微笑みの瞬間でも見てしまえば昇天できる気持ちを!!

アンタなんかにはわかんないでしょっ!?」

「は? はあ……まあ……」

しかも、この子の訴え、なんかよくわかんない。ヤバイ。本当にわかんない。

「ダイアモンドダストよりも煌めく髪に、どこまでも澄んだ瞳! 精巧緻密で見たものを虜にするお顔立ち!! 気品溢れる物腰に、天下一品の」

「もううるさい」

「くゃ!?」

あんまりにもわかんないので、私は堀内を踏んづけた。

うむ。この子うるさいわ、すごく。

廊下とキスしている堀内が、すすり泣く。

「なんで、どうしてこんなじゃじゃ馬と、バフィさまが……」