+ヴァンパイア執事+

「あらあら、ダメよバフィ」

と、私は執事の頭をポンポンと軽く叩いた。

「女の子の扱いは、どんな宝石よりも丁重に。紳士の努めよ?」

「はい、お嬢様」

もっとも、二つ返事する彼が、堀内を抑える力を弱めることはないけど。

廊下に頬を押し付けられている堀内が、か細い声を漏らす。

「なんで、どうして……アンタなんかに……なんで……」

「言いたいことははっきり言いなさいよ?」

直後、

「なんでっ、アンタなんかにバフィさまが従うのよっ!?」

彼女の怒鳴り声が廊下の窓を震わせた。

キィンときた耳を軽く揉みながら、妙な呼び名に首をかしげる。

「あー……バフィ、さま?」

「そうよっ! なんでアンタみたいなわがままに、バフィさまが付き従ってるのよ!! こんなの許されないわ!!」

「……はあ」

よくわかんないこと言い始めたわね、この子。

堀内の怒号は止まらない。