+ヴァンパイア執事+

+――+



銀色に煌めくプレゼントを仕込んでくれてる犯人さんへ、私は歩み寄った。

夕暮れの逆光で、真っ黒い影のような彼女。

しかし、バフィがすでに調べている。その素性なバレバレだ。

「もうだれなのかはわかってるわよ。お隣のクラス委員長――堀内さん?」

「くっ」

正体を簡単に見破られたせいか、人影が走り出す。

私達の立っているドアとは反対方向へ。

驚くほど素早く、彼女は教室を飛び出した。

廊下を駆けていくスカートのはためきには、優雅さの欠片もない。

パチン。私は指を鳴らした。

「やれやれね、バフィ、鬼ごっこよ。三秒以内、無傷で捉えなさい」

「承知いたしました」

瞬間、後ろにいたバフィはしかし、すでに遥かへと駆け出している。

向こうのほうで、彼女が容易く、バフィに捕縛されるのが見えた。

意味のない、無駄な逃走だ。

ふむ。二秒か。バフィもよくやったわ。