+ヴァンパイア執事+

+――+


  ルナ
柳沢月め……

許さない。

許せない。

あの高慢ちきめ……

絶対に思い知らせてやるわ……

そうよ、許さないんだから。

心の底から崩してやるわ。

私が、じわじわせめてあげる。

アンタはやがて精神から疲労していって、やつれるのよ。

アンタはそのまま病院行き。

私はそんなアンタを笑うのよ。

さあ、その下準備をしなくてはね。

アンタの机は廊下側から二番目、一番後ろ。

ちゃあんと調べているのよ。

私はポケットからカッターの替刃を取り出す。

これを机の中に仕込めば、アイツの手首を……

「あらっ、なんて危険な香りのするプレゼントかしら」

「!?」

その時、突然の声に私は驚いた。

振り向く。

だれもいなくなった教室、暮れなずむ、ガランとした入り口に、

「ねぇバフィ、素敵な贈り物をしてくれてる彼女に、挨拶は必要かしら?」

「ええ、社交辞令程度には」

悔しいほど優雅に、そして整然と立っているのは、柳沢月だった。