+ヴァンパイア執事+

思いのほか、イタズラは多彩だった。

教科書一式は見事に落書きと、カッターの傷で全滅。

体操着には『死』の一文字がでかでかと。

美術道具はゴミ箱に入ってたし。

体育から戻れば上履きに画ビョウ。

バフィが綺麗にした机には、またいつの間にやら大量の落書き。

しかも、みんな目撃者がいない。

ここまでのイタズラだと、むしろ笑えた。

こんな手の込んだこと……よくやるわ、ほんと。

そして六時間目も終わるかという頃。

開いていた窓から、なにかが飛んできた。

「え? 鳥?」

とクラスメイト達が驚く視線の先、羽ばたいているのはコウモリ。

そいつは足で掴んでいた封筒を、うまいタイミングで私の机に落とした。

「きゃあっ、コウモリ!」

「うそヤだぁ!!」

「お嬢様!!」

「おい席につけ!」

クラスが一瞬騒然となるのを無視し、コウモリはすぐさま、入ってきた窓から出ていった。

そして私は、どさくさの中で静かに封筒を開いた。

中には、一枚の便箋。

バフィから、『放課後、犯人をお嬢様に』という一文。

なるほど。見つけたのね。

私は、手紙を握り締めた。

「放課後が楽しみね」