+ヴァンパイア執事+

するとなぜか、二人は目を合わせて、苦笑いした。

「るなぴーはそう思ってるかもだけどぉ、ほかの人から見たら、ねぇ」

「羨望標的」

「はあ?」

片眉を吊り上げた私に、美香が開いた指を一本ずつ折っていく。

「だあって、るなぴー成績はトップだしー、美人だしー、クラスいいんちょだしー、おまけに執事のバフィさんは超カッコイーでしょー。恨みじゃなくったって、ねぇ?」

「嫉妬集中」

右京の端的な補足が入る。

私は、さらに眉を吊り上げた。

「はあ? なにそれ」

要するに、ただ私が羨ましいどこぞのおバカちゃんがいるということね。

だけど、そんなのいい迷惑だわ。

「そんなことで、あんなチンケなイタズラぁ? はあ、呆れてものも言えないわね」

やれやれと首を振る。

常に優雅であれ。

気品をもって行動。

慈愛の心を忘れずに。

これがこの桜ノ宮学園の三原則だというのに。

こんな簡単なことさえ守れないグズな人がいるなんて。