朝、いろんな知り合いと交流しつつ教室までやって来た私は一番、執事に訊ねた。

「バフィ、机の上のものはなんに見える?」

「ノートに見えます」

「そうね。具体的にどんなノートかしら」

「ゴミです」

さすが私の認めた執事。その即答に花丸をあげるわ。

「そう、ゴミよね。黒マジックで『死ね』と書きなぐられたノートなんて、ゴミでしかないわ」

しかもそのノートはカッターでズタボロ。

よく見れば『ブス』だの『くたばれ』だの。

これをゴミ以外のなんて認識すればいいのかしら。

なんにしても、あまりに幼稚なイタズラに溜め息が出るわ。

「申し訳こざませんお嬢様。すぐに綺麗にいたします」

バフィが私の机へ進み、片付けようとする。

しかし、

「いいわバフィ」

私はそれを止めた。

クラスを見回し、はっきりと言う。

「だれがやったのか、すぐに白状しなさい。私はこう見えて寛大よ。今ならなんのお咎めもなく許すわ」

ここ、桜ノ宮学園は、地域でも名の知れた有名お嬢様校。

私以外のすべての生徒の横には、バフィのような燕尾服に身を包んだ執事がいる。

40人はいる人間すべてが、しかし、私の呼び掛けに応えない。