「何してるの、宮崎。ほら、早く行くよ」


視線を向ければ、遠慮がちに腕に触れていた和果子の手が、恥ずかしそうに離れていく。


「和果子さ、手、冷たいのな」

「心があったかいから、手が冷たいの」


何となく感じたままに呟けば、和果子がお決まりのセリフを放って笑みを浮かべる。

そんな仲睦まじく戯れている二人の様子を、少し離れた位置から寂しげに見つめて、高知は小さくため息をついた。

その視線の先で揺れるのは、紺地に星を散らしたような浴衣。


浴衣姿の彼女はいつも以上に可愛らしくてちょっぴり大人っぽくて、その姿に心臓が早鐘のように打ち続け……


「やっぱり、好きだ……」


どうしようもなく、切なくなった。