「ほらっ!かき氷おごってあげるから」

「かき氷より、今はラムネが欲しいです……」

「あっ、ラムネならあたしも欲しいです!」


突然元気を取り戻した和果子に、宮崎はギョッとして隣を見る。

ガードレールから離れてピシッと腕を上に伸ばした和果子に、高知は満足げに頷いた。


「うんうん。やっぱり若者はこうでないとね」

「何か、突然ラムネの気分じゃなくなってきた……」


疲れきった呟きは軽く流され、高知に加えて和果子までもが、元気いっぱいに宮崎の腕を引く。


「ほら宮崎、早くしないと屋台が終わっちゃう!」

「そうだぞ宮崎!屋台は朝まで待ってくれない」


二人がかりでグイグイ腕を引っ張られ、宮崎は仕方なく重たい腰を上げる。


「よしっ、じゃあ気が変わらないうちに行くぞー!」


上機嫌で歩き出した高知のあとに、ルンルンと楽しそうに和果子が続く。

カラコロと軽やかに下駄が鳴った。