思い思いに見上げる空に、パアンと光が弾け、残像を残して消えていく。
「綺麗……」
「……ほんとだね。凄く、綺麗だ」
和果子の呟きに、高知が答える。
その妙に熱のこもった声音に、宮崎がふと視線を向けてみると、一心に花火を見上げて瞳を輝かせる和果子と、そんな和果子を穏やかに見つめる高知の姿があった。
視線を感じてこちらを向いた高知は、宮崎と目が合うと、照れたように笑って人差し指を唇に当てる。
“内緒”のジェスチャーのあとに、高知は何事もなかったかのようにまた空を見上げる。
打ち上がった花火が夜空に弾けて、並ぶ二人の顔を鮮やかに照らし出した。
***



