今年の夏もキミを想う…。



「時間だよ、時間!今何時?」

「もうすぐ、19時半になりますけど」


宮崎が携帯を出すより早く、腕時計で時間を確認した和果子の報告に、高知が慌てて立ち上がる。


「もうそんな時間!?二人共急いで!始まっちゃうよ」

「始まる……?」

「何がですか?」


呑気に飴を舐めながら首を傾げる二人に、高知がビシッと空を指差す。

見上げた空は薄闇に覆われていて、提灯の橙色の明かりがよく映えていた。


「花火だよ、花火!早く行かないと、いい場所全部取られちゃうよ」


宮崎と和果子は思い出したように「「ああ」」と呟いて、尚も呑気に飴を舐め続けていた。





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