母との通話を終えて携帯をしまうと、再び顔を出した太陽を見上げる。

日差しが、容赦なく宮崎を照りつける。

眩しさに目を細めると、不意に彼女の姿が浮かんだ。

夏の日差しをいっぱいに浴びて、幸せそうに笑う、彼女の姿が。


『ねえ、宮崎くん!来年も、再来年も、その次の年も、ずっとずっと、こうして一緒に楽しい夏を過ごせたらいいね』


一瞬の強い風で雲が大分流され青の面積が広くなった空を、手でひさしを作って、宮崎はぼんやりと眺める。


「夏も、もうすぐ終わりか……」


和果子がいて、高知がいて、柚花がいて、そして……彼女のいない、今年の夏が終わろうとしていた。