宿題もようやく終わらせた。
遊びに行こうにも、自転車で行けるところには限りがある。
チラリと本棚に目を向けた。
ほとんどが漫画本で、その中に申し訳程度に小説が挟まっている。
夏休みに入ってから、既に幾度となく読み返したその本に、今更手が伸びる訳もなく。
ぼんやりと本棚を眺めて後、再び天井に視線を戻す。
時間の経過と共にゆるゆると溶けていくアイスを、木のスプーンで必死にすくって口に入れていると、不意にテーブルの上で携帯が震えた。
スプーンを口に咥えたまま、カップを持っていない方の手で携帯を掴んで開く。
受信したメールを開いてみれば、差出人は母だった。
「……めんどくさい」
ポツリとため息まじりに呟いてから、残りのアイスを飲むようにして食べ終えると、彼女からの手紙をポケットに、扇風機を止めて立ち上がる。
階段を下りてリビングを覗いてみれば、メールにあった通り、テーブルの上にはハガキが一枚置いてあった。



