「これって、あたしの勝ちだと思うんだけど」
「流しそうめんに勝ち負けがあってたまるか」
「それって、負け惜しみ?」
得意げな和果子と、若干の敗北感が漂う宮崎は、並んで縁側に腰掛けていた。
竹はまだ、楽しかったお昼の名残を残してそこにある。
「でも、ちょっと食べ過ぎたかも……。お腹が苦しい」
ごろりと天井を向いて寝そべった和果子に、宮崎が呆れたようにため息をつく。
「そりゃあ、ひとりであんだけ食えばそうなるだろ。どう考えたって食い過ぎなんだよ」
「やっぱり負け惜しみ」
横になったまま視線だけをこちらに向けて、和果子が得意げにふふんと笑う。
何か言い返してやろうと口を開きかけたところで、のそのそとやって来た若様が和果子の隣にどっかりと寝そべり、更にそのあとから和果子の祖母がゆったりとやってきて二人の後ろに腰を下ろしたので、宮崎は仕方なく口を閉じた。
「はい二人共、ウーロン茶でよければどうぞ。それから、シュークリームもね」
二人が同時に振り返れば、手を伸ばせば丁度届きそうな位置に、お盆に乗ったガラスのコップが二つと、大ぶりのシュークリームが盛られた皿があった。



