今年の夏もキミを想う…。



「よし。じゃあ、スタートの合図はあたしがする」

「はあ?それって何かずるくな……」

「スタート!」


宮崎の言葉にほとんど被せるようにして、和果子の明るい声が響く。


「おい、今のはずるいだろ!」


慌てて箸を水の流れる竹に差し込んだ宮崎だが、最初のそうめんは、既に和果子のお椀の中にあった。


「へっへーんだ」

「こんの……次は絶対負けない」


水に乗って次々と流れてくるそうめんを、二人は賑やかな声を上げながら取り合う。

テンポよく流れてくるそうめんは、結局一度も準備したザルに落ちることなく、ただ一緒に流した水だけが、涼しげな音を立ててバケツの中に落ちていった。





***