お盆を宮崎の隣に置いた和果子は、再び台所にとってかえす。
次に持ってきたのは、水の張ったボウルとコップ。
そのコップでくんだ水と一緒に、そうめんを流すシステムらしい。
サンダルに足を突っ込んで縁側から降り立った和果子は、自分の分のめんつゆに手早く生姜を溶かし込んで、箸を手に宮崎の向かい側に移動する。
「わかってるとは思うけど、早いもの勝ちだからね」
「……一回ずつ順番でいいじゃないか」
「それだとつまんないって言ったのは宮崎でしょ」
「小学生の時の話だろ!」
竹を挟んで二人は向かい合い、和果子の祖母がコップに水をくんで、片手にそうめんを持ってスタンバイする。
ニコニコと楽しげに二人のやり取りを見つめる姿は、昔と全く変わらない。
ただあの頃は……もっと人数が多くて、もっとずっと賑やかだった。



