今年の夏もキミを想う…。


外に出ると、縁側の方にカメラの三脚のような足場が既に準備してあって、和果子は持っていた竹をそこに置いて具合を確かめていく。

「わん」と声が聞こえて宮崎が顔を上げれば、先ほど見送ってくれたはずの若様が、すぐそこにどっしりと腰を落ち着けていた。

緩やかな斜めになるように高さを調節して、流したそうめんが地面に落ちないように、下にバケツとザルをセットする。

それが終わると、サンダルを放り出すようにして縁側から家に入った和果子が、程なくしてボウルに水を入れて持ってくると、それを上からゆっくりと流した。

上から下に、緩やかに流れた水が、ザルの網目を通ってバケツに落ちる。


「うん、いい感じ」


和果子は、満足そうに頷いた。


「ちょっとそこにいて。今、つゆとか箸とか取ってくるから」


宮崎が返事を返す間もなく、和果子は再び中へと戻っていく。

しばらくすると、台所の方から何やら楽しそうに会話している声が聞こえた。

内容まではわからないが楽しそうであることだけは伝わってくるその声を聞きながら、宮崎は手持ち無沙汰で立ち尽くす。