「“コッコ”のしゅうくりーむじゃん。どうしたの?」
「来るとき、柚花ちゃんのお母さんがくれた」
「元気そうだった?」
「お腹がまた大きくなってた」
やって来た宮崎を玄関で出迎えた和果子は、差し出された箱を受け取って中身を確認する。
「そっか、元気に育ってるようで良かった。今度会った時、何かお礼しないと。あっ、とりあえず上がって」
箱を手に歩き出した和果子の後を追って、宮崎も家にあがる。
「お邪魔しまーす」と声をかければ、その声を聞きつけて、手前の部屋から若様がのっそりと姿を現した。
「おお、若様久しぶり」
しゃがみこんで丹念に体を撫でる宮崎に、若様は満足そうにしっぽを振る。
ゆるゆると揺れるそのしっぽは、昔に比べてだいぶ勢いが衰えたが、それでも若様の嬉しい気持ちを確かに伝えてくれていた。
「おばあちゃーん、宮崎が来たから、そろそろ始めよう」



