「“コッコ”のしゅうくりーむ!美味しいよね、私も好きなの。あっそうだ!この間買ってきたやつが、確かまだ冷蔵庫に入っていたの。柚花ちゃん、良かったら食べに来ない?」
「えっ?でも、あの……」
「大丈夫!最近部屋を掃除したばかりだから、今ならまだ綺麗だから」
「いえ、あの……そうじゃなくて」
「行こう!」と笑って柚花の手を引いて、彼女が嬉しそうに走り出す。
半ば引っ張られる形で走り出した柚花だが、驚いたような表情はしていても、嫌そうな雰囲気は感じなかったので、宮崎は黙って自分を追い抜いていく二人を見送る。
「宮崎くんも。ほら、早く行こう!」
自分で作ったシュークリームもどきの事などすっかり忘れて、振り返った彼女が立ち尽くす宮崎を手招く。
「これはどうするんだよ。……全く」
呆れ半分にため息をついて、それでも表情は穏やかに、宮崎は先を行く柚花と彼女を追って走り出した……。
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