「あそこはね、買ってすぐの皮がぱりっとしている時に食べても美味しいんだけど。一日置いて、皮がしっとりしてから食べても凄く美味しいの。中はね、生クリームとカスタードクリームを合わせたのがたっぷり詰まっているんだけど、不思議と全然重たくないの。きっと配合が絶妙なのね」


「ああでも、喫茶ブルドックの数量限定プチしゅーパフェも……」などとブツブツ呟いて、彼女は頭を抱え始める。
その間に、宮崎は箱から一つぺしゃんこの物体を取り出して、まじまじと観察を始めた。

彼女はなぜ、先程から自分で力説しているものと、箱に詰まっているこの物体が、同じものだと言い切れるのか。
ぺしゃんこのその物体からは、無理矢理詰め込まれたクリームがはみ出している。


「あっでも、コアラ堂も忘れちゃいけないわ!あそこは上からたっぷりのお砂糖をまぶしてくれるから、見た目も凄く可愛らしくて……」


自分で言い出しておいて、やはり一つには絞れない様子の彼女。

ひどく思い悩んだ様子であっちこっちに視線を巡らせていた彼女は、後ろを向いた途端、何かいいものを見つけた時のようにぱあっと顔を輝かせた。