今年の夏もキミを想う…。



〈ご、ごめん和果子ちゃん……てっきり宮崎だと思ったから、大きな声出しちゃって〉


そのため息をどう勘違いしたのか、高知が本当に申し訳なさそうに謝罪を口にした。

和果子もまた、「あっ、いえ!今のは……気にしないでください」と慌てて答える。

元はといえば、自分にかかってきた電話を、和果子に押し付けて逃げた宮崎が悪い。


「それで先輩、何か用事ですか?大事な用なら、なんとしてでもとっ捕まえますけど」


睨みつけるようにして宮崎を見やれば、その肩がビクリと揺れたのが遠目にもわかった。


〈いや、大した用事はなくて……。みんな、どうしてるかなって思って〉


聞こえてきた高知の声は、思った通り、どこか寂しげだった。


「みんな元気ですよ。今は、柚花ちゃんの美術の宿題を仕上げるために、みんなで先輩の穴場に来てます」

〈うう……オレの穴場なのに、オレがそこにいないなんて何か悔しい〉


本当に悔しげな高知の声に、和果子はクスリと笑みをこぼす。


「こればっかりはしょうがないですね。来年は、忘れずに課題を提出してください、先輩」


クスクスと楽しげに笑う和果子の声につられたように、高知も小さく笑みをこぼす。

それからしばらく和やかな雑談が続いて、和果子は始終楽しげな笑みを浮かべ、時折笑い声をこぼしていた。