「柚花ちゃんって、絵がうまいんだね」 宮崎の賞賛に、柚花はまた照れたように恥ずかしそうに笑って、「そんなことないです……」とぽそぽそと呟き、再び目の前の景色に視線を戻す。 宮崎も、それを追いかけるようにして同じ景色を眺めた。 遠くの方に、町が見える。 この村にはない、けれど皆が当たり前のように見慣れている看板が、そこかしこにぼんやりと見えた。 「美術の宿題、何を描いたらいいか悩んでて……そしたら高知さんが、この場所を教えてくれたんです」