今年の夏もキミを想う…。



「そういやさ、それって宿題?」


半分程残してグラスを置いた宮崎が、隅に積み上げられたノート類を指差す。

視線が合いそうになって僅かに慌てた和果子は、苦し紛れにグラスのお茶をグイっと煽った。

今度は慌て過ぎてむせそうになるのを何とか堪えて、宮崎が指差す方に視線を向ける。


「まあね。宮崎の方も、宿題出てるんでしょ?」

「まだ開いてすらないけどな」


積み上げられた教科書や参考書を眺めつつ、宮崎がもう一度グラスに口を付ける。


「ほんと宮崎って昔から、“計画的”って言葉を知らないよね。そうやって、夏休み始まったばかりだからって余裕こいて、後で痛い目見ても知らないよ」


呆れたような和果子の声に、宮崎は曖昧に頷き返す。

その曖昧さに、和果子のお説教は更に続く。


「始まった時はまだまだ余裕だって思っててもね、気がついたらあっという間に終わってるのが長期休みなんだから。宿題は、毎日コツコツやらないと」

「わかっててもやる気が出ないのが長期休みってもんだろ。せっかく学校から離れて里帰りしてんのに、こんなとこまで来て勉強の事なんか考えたくもない」

「あんたね……」