今年の夏もキミを想う…。



「……今度また、会いに来ればいいよ。若様も、きっと会いたがってるだろうから」

「そうだな。そのうちに」


それ以上どちらも言葉を続けなかった為、再び沈黙が生まれる。

知った仲であるおかげで、別段気まずいこともないが、和果子の方は何だか心なしかそわそわして落ち着かないように見えた。

先程から何度も、壁にかかった時計にチラチラと視線を送っては、コップを持ち上げて口に運びかけ、空であることに気がついてテーブルに戻す事を繰り返している。

宮崎も、チラリと時計に視線を送った。

時刻はまもなくお昼時。

おかわりの麦茶でも取りに行こうかと立ち上がって、宮崎は和果子に声をかける。


「お昼、まだだろ。そろそろいい時間だし、何か食べるか?大したものはないけど」


その言葉に、何だかそわそわして落ち着かなかった和果子が、弾かれたように顔を上げた。


「よ、よかったら!あたしが何か、作ろうか」


緊張しているのかなんなのか、なぜだか声が若干上ずっている。


「いいのか?冷蔵庫にも、ほんと大したもん入ってなかったけど」


宮崎と一緒に立ち上がった和果子が、いそいそと台所に入って冷蔵庫を開ける。