「そう言えば、若様は元気にしてるのか?」
宮崎の唐突な問いかけに、「うん、まあね」と返した和果子は、徐ろにコップをテーブルに置いて、着ていたパーカーのポケットからスマートフォンを取り出した。
「こんな感じ」
目の前に差し出された画面いっぱいに広がっていたのは、見慣れたゴールデンレトリバーの姿だった。
「元気そうだな」
口にはボールを咥えていて、そのしっぽは機嫌よく振られていたのか、若干ピントがぼやけている。
「天気がいいとね、調子もいいみたいで。この日は、かなり元気よく遊んでた」
スライドされて次々表示が切り替わる画像には、どれも楽しそうに遊んでいる若様の姿が映し出されていた。
「へー」とか「おお」などといちいち声を漏らしながら写真を眺めていた宮崎は、不意に現れた若様を写したものではない画像に、「ん?」と首を傾げた。
その声を不審に思って表示されている画像を確認した和果子は、ハッと驚いたように息をついて、慌ててスマートフォンの画面を自分の胸元に押し付ける。



