今年の夏もキミを想う…。



「ところで和果子は、こんな雨の中何しに来たんだ?まさか、わざわざ高知先輩の落ち込み具合を報告しに来たわけじゃないよな」

「そんなわけないでしょ。この雨で、若様のお散歩にも行けないから暇だったの。だから同じく暇を持て余しているであろう宮崎のところに、こうして遊びに来てあげたんじゃない」

「なんで上からなんだよ……。あいにくと、俺は今勉強中だ」


と言いつつも、リビングに腰を落ち着けてくつろぎだした和果子に、麦茶を入れて持っていき、自分もその向かい側に腰を下ろす。

ここに彼女もいて、三人だった頃は、よくトランプをしたり、最近クラスで流行っているというわけのわからない遊びをしたりして楽しんだものだが、あいにくと今ここにいるのは、彼女を除いた二人だけ。


「勉強中なんじゃなかったの?」

「たった今から休憩中になった」


「なにそれ」と笑って、和果子が麦茶を口にする。

沈黙を埋めるように、宮崎も麦茶に口をつけた。

しんとした部屋に、外の雨音が柔らかく響く。