本人が直接口にしたわけではないが、普段の言動や、大切そうにポケットに入れているその手紙を見れば、一目瞭然だった。

きっと和果子へのメールの返信は忘れても、彼女への手紙の返事は忘れたことがないのだろう。

そう思えば、どうしようもなく悲しくなった。

彼女と彼との絆を視界から遮断するように、和果子はそっと目を閉じる。

今日という日の楽しかった思い出だけを胸に、和果子はそのまま眠りについた。

切ない想いを胸に秘め、伝えられない気持ちを飲み込んで……眠る四人を乗せたバスは、村までの道をひた走る。

窓の向こうを流れていく景色が、徐々に海から山に変わり、そして舗装の中途半端な凸凹道を、バスは車体を揺らしながら走っていく。