今年の夏もキミを想う…。


和果子の手が一瞬止まって、直ぐに何事もなかったかのように、サンドイッチを掴みあげる。

その横顔は、よく見れば嬉しそうに緩んでいた。

宮崎がおにぎりの最後の一口を口に入れて、ピックの刺さったからあげに手を伸ばそうとした時、海辺の方でぱあんと盛大な音が響いて、次いで「割れたー!みんな、割れたよー!!」と嬉しそうな高知の声が聞こえた。


「「「あっ……」」」


すっかりその存在を忘れてお弁当に夢中になっていた三人は、揃って顔をそちらに向ける。

目隠しを取って得意げに笑った高知は、広げたお弁当を囲んでいる三人を見て、目を見張った。


「な、なんで先にお弁当食べてるの!!!」


真っ赤な実を太陽に晒してパックリと割れたスイカと、相変わらず眩しい程に輝く水面を背に、高知は悲しげな声を上げながら、パラソルに向かって駆け出した。

打ち寄せた波が、砂を引き込んでまた海へと帰っていく。

寄せては返すその波打ち際を、カニがひょこひょこと横切っていった。




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