「あ、あの……実はわたしも」
最後のサンドイッチについて議論していた二人の耳に、遠慮がちな声が聞こえる。
顔を向けてみれば、こちらも保冷バックから取り出した弁当箱の蓋をそっと開けて、中がよく見えるように二人に傾けて見せる。
中には、弁当箱本体を型にして作られた、キラキラと涼しげに輝くゼリーがあった。
「えっと……柚子とレモンのゼリーです。おやつに、どうかなと思って」
遊び疲れてすっかり忘れていたが、こうして目の前にお弁当とゼリーが並ぶと、忘れていたはずの空腹が蘇ってくる。
「柚花ちゃんはさすが、女子力高いね。これ、手作りでしょ?」
「いえっ、あの!そんな。和果子さんこそ……料理が上手で、羨ましいです」
恥ずかしそうに俯く柚花と、その女子力の高さを褒め称える和果子。
女子二人が、お互いを褒め合いながら謙遜し合う様子をしばらく眺めて、タイミングを見計らって宮崎は口を挟む。



