白い砂浜にビーチパラソル、その隣にちょこんとカニが描かれた便箋をポケットに、宮崎は恨めしげに太陽を睨みつける。


『う、海に……行きませんか!』


肝試しの後で思い切ったように口にした柚花の提案に、『いいね!行こう行こう』と高知が目を輝かせ、『夏といえば、やっぱり海だしね』と和果子も同意し、宮崎が意見を言う暇など与えられる間もなかった。

当日は朝も早い時間から、肝試しの時のように柚花を伴って迎えに来た高知に叩き起こされ、寝起きのぼんやりする頭で高知の父が運転する車に乗せられバス停まで行くと、そこには既に準備万端整った和果子がいて、何がなんだかわからないうちに、気がつけばそこは海だった。

そんな状態で、いきなり楽しく遊べるはずもなく、宮崎は砂浜に突き刺したパラソルの下で、ぶつけようのない怒りを瞳に込めて、太陽を睨みつけていた。


「宮崎ー!遊ばないのー!遊ぼうよー!海だよ、海ー!!」


今日も元気そうで何よりな高知は、先程から一人で水と戯れている。

着替えに行ったはずの和果子と柚花が中々戻ってこないので、何だかとっても悲しい絵面になっていた。